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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
何人かを引き連れて、妹シャロンがこちらに向かってくる。
「あら、シャロン」
手を振り返すと、リューイもシャロンに気付き子どもたちに声を掛けると、そのままルシアの元へと近付いた。
「お久しぶりです、シャロン姫」
スッと跪いたリューイに、シャロンはニコリと笑う。
「お久しぶり、リューイお兄様」
呼ばれ慣れぬ呼び方に、リューイは、跪いたまま「ん…」と声を漏らしさらに頭を下げる。
正確にはまだ婚約している状態なのだから、お兄様と呼ばれるには早いのだが、それでも少しリューイの胸が弾んだ。
騎士の時の癖が抜けないのか、少し仰々しいリューイに、ルシアは軽く笑いながら、シャロンの背後を見た。
ぜぇぜぇと息を上げるマヤとアマンダが身をフラフラとさせながら、近付いてくる。
「……もう、何をしているの? 2人とも」
「シャロン様がっ……スタスタと行ってっ…しまわれるから……っ」
「そうです…っ……もう少しゆっくり歩いてくださいまし……っ」
息を整えながらの2人の言葉に、ルシアはクスクスと笑う。
ルシアが王位を放棄して、この街に移り住んでから、マヤとアマンダはルシア付きの侍女から、シャロン付きの侍女へと変わった。
それでも相変わらずな様子に安堵して、ルシアはシャロンのことを見つめた。
「どうしたの、今日は」
「お姉さまたちの剣術の教室がようやく開いたって聞いて、少し様子を見に来たんです」
そう言いながら、シャロンは、周りに群がるたくさんの子どもたちの姿を見た。
そして、「うーん…」と唸って、ルシアとリューイのことを交互に見つめる。