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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
申し訳なさそうな、でも幸せそうな、そんななんとも言えない顔でリューイが微笑む。
「それに……もう願いは叶ったから、良いかと思いまして…」
リューイの表情に、ルシアはギュッと自身のミサンガを握った。
「………込めた願いは、『ずっと一緒にいられますように』だから、まだ始まったばかりなのよ」
「そうですね」
リューイ自身が自分で切ったにせよ、同じ日にミサンガが外れたのはやはりどこか不思議でルシアは運命を感じた。
きっともう、これからは何のおまじないもいらない。
ミサンガをしまったルシアはリューイの手を握って、家へと歩き出した。
引っ張られるようにして、リューイも歩き出す。
冷たくなって来た風が心地よくそよいで、2人の髪を靡かせた。
「リューイ、家に入る前に、お庭で手合わせしましょう」
突然のお誘いに、リューイは呆れたように笑う。
「懲りませんね、あなたも」
ふふと笑うルシアは、宣言通り、家の前に着くと木剣を掴んだ。
凛とした姿で、目を瞑り息を整え、剣を構える。
金色の髪が横に靡き、パッと目を見開くとルシアの深緑の瞳がより一層鋭く輝いた。
「あなたは、この世界で唯一の……剣が似合う姫ですね」
ひゅっと音を立てて風を切ったルシアは、そのいでたちとは真逆に優しく微笑む。
「リューイ…」
「はい」
「………好きよ」
そう言って向かってくるルシアに、リューイはふっと笑った。
「………………手合わせの前にそんなことを言うのは、反則ですよ」
「……っ…こうでもしないと、あなたに勝てないでしょ?」
そう言いながらルシアも笑みを返し、剣を振る。
愛し合う2人の剣が幾度となく交差する────…