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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
夕日の紅い光が、唇を重ねる2人の横顔を照らす。
「─────── ルシア…」
「…なに………?」
「家に帰りましょう」
リューイの言葉に、ルシアは「えぇ」と返事して、手を引かれるまま立ち上がった。
そして、何かを思い出したように「あ!」と声を上げてワンピースのポケットから何かを取り出した。
「そういえば、今朝……」
首を傾げながらリューイはルシアの手の平の中を覗く。
そして、目を見開いたリューイは、「ハハ」と笑って自身もポケットへ手を入れた。
「奇遇ですね……僕も先程…」
「えっ……?」
2人の手の平に乗せられた、緑と茶色のほつれたミサンガ。
「……すごい…同時にほつれるなんて…こんな偶然あるのね」
感動しているルシアに、リューイは少しバツが悪そうに微笑む。
「………すみません。本当は…自分で切りました」
「え……?」
ルシアの目が輝きを失う。
「なによそれ……! 感動して損したじゃない」
「でも……あと少しでほつれそうだったんですよ」
「だったら…────」
「────そのまま知らぬ間にほつれて、無くしてしまったら嫌だったので」