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† 姫と剣 †
第3章 決闘
「しっかりとした手当が受けられるまで……それで…」
「ありがとうございますっ………」
頭を下げたセスを見て、ルシアは軽く微笑むとロイの方を見て、「さようなら」と呟いた。
それに合わせて、リューイが馬を進ませる。
「お人好しが過ぎます」
「そう……かもね」
リューイとルシアが、闇夜に消えていくのを見つめながら、ロイはふっと笑った。
「何を笑っているんですかっ…」
「全く……ますます姫に惹かれてしまった…」
この期に及んでまだそんなことを言うロイにセスは、呆れながら近くの馬を引き連れる。
「まぁ……同じように、姫もますます惹かれてしまったんだろうが……」
「もうあまり話さないでくださいっ……出血がひどくなります」
ゆっくりと立ち上がったロイは、肩を庇いながらセスの用意した馬に再び乗る。
「姫と騎士……か」
「王子……ルシア姫に教えていただいた薬草を探しましょう…」
真っ暗闇だった空が少し明るさを見せる。
ロイはそのままセスの後に続いて馬を進ませていた。