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† 姫と剣 †
第3章 決闘
「戦争なんか……ダメです」
「姫……」
未だに少し息苦しそうなルシアを、リューイとロイが見つめる。
「私は…無事ですから……っ。ですから、水に流します……っ…」
「────────…」
「もう……お国へ……っ…お帰りください」
ルシアの言葉に、何よりセスがホッと胸を撫で下ろす。
ローハーグと戦争になれば、アノアは最悪壊滅する。
それはなんとしてでも避けたい。
「その騎士が……納得しないのではないですかね…?」
ロイの言葉に、リューイはキツく睨みつけるが、その脇でルシアが「いいえ」と言葉を続ける。
「私のために……戦争を起こしっ……民が血を流すだなんて、そんなことはあってなりません…っ…。リューイもそれは理解しているはず…です」
ルシアの言葉に、リューイはロイを強く睨んだままグッと奥歯を噛む。
そして、しばらくすると剣を握っていた腕の力を抜き、そのまま剣を背中に締まった。
緊迫していた空気が少しだけ緩む。
リューイはそのまま、馬の方向を変えて遠くを見た。
「ルシア姫……戻りましょう」
「ええ…」
そう返事をしたルシアは、何も言わないロイの方を見る。
「もう少し奥へ進めば…茂みがあります……」
「………………」
「茎が長く……傘にも出来そうなほど……大きな葉をつけた植物が…生えているはず…です。それをすり潰して……傷に……」
「薬草っ……ですか!」
セスがそう声を張ると、ルシアはゆっくりと頷く。