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† 姫と剣 †
第5章 来賓
王宮の中庭、蝶々が花の周りを飛び交うように、1人の少女が舞う。
良い天気の元、まるで天使のような妹シャロンの姿に、ルシアは微笑む。
咲き乱れる花のそばに腰を下ろしたルシアは、様々な色の花を摘む。
「お姉さま、花冠作ってくれる?」
「うん、いいわよ」
要望に応えるように、器用に編み出すとシャロンはその様子を見てニコニコと笑う。
「お姉さまって本当に器用よね」
側にいたマヤもうんうんと頭を縦に振る。
「そんなことないわよ、慣れているだけ」
「いつ、誰に教わったの??」
シャロンの説明に、ルシアは編みながらうーんと唸る。
「…………いつ…かしら……」
思い出そうと視線を上にあげるが、思い出せなくルシアは首を捻った。
「覚えていない……くらい前ね」
ルシアの答えにふーんと声を返したシャロンはルシアの横にしゃがんで顔を覗き込む。
「今度、私にも教えてね」
「ええ」
ルシアはそう返事をして微笑み返すと、出来上がった花冠をシャロンに頭に乗せた。
「素敵です!シャロン様!」
マヤの言葉に、シャロンは得意げな表情を見せる。
少し大人びた風のシャロンだが、まだまだ無邪気な様子を見ながら、ルシアは続けて花を摘む。
「お姉さまも作るの?」
「うんん、このお花たちはお部屋に飾ろうと思って」
少しだけ顔を赤らめたルシアは、小さなブーケを作って立ち上がると、視界に入った人物にハッとして目を向けた。