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† 姫と剣 †
第5章 来賓
「リューイ………」
すかさず跪いたリューイに、ルシアはゆっくりと近付く。
「今から行こうと思っていたんだけど。寝ていなくていいの?」
「はい、医師から許可を得ました。今日から正式に護衛を復帰いたします。ご心配お掛けいたしました」
頭を下げるリューイの姿を見て、ルシアは少し心配そうに顔を顰める。
「本当にもういいの……? まだ寝ていた方が───」
「───いえ、これ以上寝ていると体が鈍ってしまいますので」
立ち上がりながらそういうリューイにルシアは呆れていると、「それに…」とリューイが言葉を続ける。
「姫の側にいないと気が気ではなく……。逆に体に障りますので」
「…っ……────」
しれっと放たれたリューイの言葉に、ルシアの頬がポッと紅くなる。
側にいるという言葉は、単純に護衛の仕事として、という意味だということはルシアも分かっているが、それでも想い人から言われるとどうも胸が跳ねてしまう。
「そう……」
誤魔化すように俯いたルシアをリューイは表情を変えずに見つめる。
そして、背後にいる妹シャロンと目があって、軽く頭を下げた。
「まだ、こちらで過ごされますか?」
「ん……? え、えぇ、そう、ね」
「では、私はそこにいますので、移動される際はお声掛けください」
そう言って少しだけ離れた場所にいくリューイのことをルシアは目で追った。