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ハニードロップ
第5章 人生のゴール
 突然知らない電話番号から携帯に電話がかかってきて、博也くんの事務所に呼び出された。当然芸能事務所など来たことがない私はとても不安で、博也くんのことを探した。もちろん博也くんはいない。

「突然お呼び立てして申し訳ありません」

 応接間みたいなところに連れて行かれて、そこで待っていたのは博也くんのマネージャーの利根さんだった。座ってくださいと勧められた高そうな革張りのソファーの前のテーブルの上に写真が置かれていた。

「……っ」

 それは、博也くんと私が手を繋いで歩いている写真だった。どうやら芦屋くんのバーを出てタクシーに乗り込むところを撮られたらしい。外で一緒に歩いたのは、そこしかない。

「こ、これ、」
「来週発売の週刊誌に掲載されます」

 覚悟がなかったわけじゃない。相手が相手だから、いつかこんなこともあるだろうと思っていた。でも、いざ現実となるとやっぱり怖かった。体がふわりと浮いて、まるでとても不安定なところに立っているかのような、そんな。

「北山さん、大丈夫ですか?」

 よほど青ざめた顔をしていたのだろうか。利根さんが心配そうに顔を覗き込んでくる。
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