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ハニードロップ
第5章 人生のゴール
「とにかくお座りください。今後のことを話し合わないと」
「っ、はい……。あの、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
博也くんは人気商売だ。こんな記事が出ると、多少なりとも仕事に影響が出るだろう。
「いえ、三木村のことは大丈夫です。事務所から恋愛禁止されているわけでもありませんし」
「で、でもこの前香月さんと……」
「週刊誌に出るスキャンダルが全て事実ではないことはこの業界では周知の事実ですから、仕事に影響は全くありません」
利根さんはハッキリそう言い切った。私を安心させるためでもあるかもしれないけれど。
「心配なのは北山さんです」
「えっ」
「一応あなたは一般の方ですから、顔は写りません。ですがあなたを知っている人が見れば分かると思いますし、悪意を持ってあなたのことを調べる輩も現れます」
「……」
「しばらくは私が送迎します。ホテルもこちらで手配しますので、申し訳ありませんがそこから仕事に通ってください」
「そ、そんな、利根さんの手を煩わせるわけには……」
「前に他の俳優に一般の方とのスキャンダルが出ました。その時、相手の方の家は特定されファンが押し寄せました」
「っ、」
「お願いします。三木村のためにも、あなたを危険な目に遭わせるわけにはいきません」
私はまだまだ、覚悟が足りていなかったのかもしれない。
「そして、もう一つお話があるんです」
「はい……?」
「実は……」
利根さんの深刻そうな顔に、悪い予感が止まらなかった。