この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ハニードロップ
第5章 人生のゴール
 二人でタクシーに乗り込むと、博也くんは運転手さんにいつものホテルに行って欲しいと伝えた。手を繋いだまま、博也くんが私を見る。

「さっきの人元カレ?」
「えっ?!」

 博也くんはいつものように優しく微笑んでいる。私の前で見せるいつもの顔だ。

「な、なんで?」
「うーん、奈子ちゃんの反応で分かった。吉村くんが前に言ってたんだ。職場に奈子ちゃんの元カレがいるって」

 吉村に知られていたことが衝撃だった。それと同時に博也くんと吉村が私の知らないところでそんな話をしていることも衝撃だった。

「お、怒ってる?」
「なんで?」
「だって、私は博也くんの元カノとかあまり会いたくないし……博也くんも嫌な思いさせたかなって」

 今は博也くんのことが大好きだし、望月さんのことはいい上司だとは思うけど恋愛感情は全くない。だけど、一回は好きになった人。私だったらヤキモチ焼いちゃうな……

「嫌な思いなんてしてないよ。感謝こそすれヤキモチ焼く理由ないじゃん?」
「えっ、感謝?」
「だってあの人が奈子ちゃんと別れてくれてなかったら、もし結婚なんかしちゃってたら、こうやって俺と付き合ってくれなかったでしょ?」
「……っ」
「奈子ちゃん、他の人と結婚しないで、俺と出会ってくれてありがとね」

 この人は、この人は本当にずるい。とっても甘い顔で、とっても優しい顔で、溢れ出る愛情をたくさん伝えてくれるんだから。
 あの頃、泣いてばかりいた私。望月さんが好きで、でも上手く行かなくて、仕事が好きで集中したいと思ってもできなくて。別れなきゃよかったって寂しい夜に思ってしまったことはある。でも、それは望月さんを好きだったからじゃない。ただ人肌恋しかっただけ。
 博也くんのおかげで、今までの人生悪くなかったかもしれないと思えた。こんな風に、私を好きになってくれる人、他にいないと思うほど。

「博也くんも、私を見つけてくれてありがとう」

 テレビの中にいる、憧れの人。普通は絶対出会えない人にこうやって出会えたのは、博也くんが私を忘れないでいてくれたからだ。
/108ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ