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悪魔から愛されて
第26章 気になる過去
圭吾は、缶ビールを飲みながら、ソファーに座った。
私は向かい側に座ろうとすると、圭吾は私の手首を掴み、自分のとなりに座らせた。
…少しの沈黙が苦しい…
自分の心臓の音が煩く感じる。
「…恵美、早乙女から聞いたと思うが…彼女は君を恨んだりしていない。
俺は、彼女を愛していた。別れるつもりもなかった…」
「…では…なぜ…彼女は…」
「…彼女は俺を愛してくれていた…でも…俺を一番幸せに出来るのは、自分ではないと…」
「…そ…そんなことって…」
「自分のために…運命の人(女性)を諦めて欲しくないと言ったんだ…
…そして、自ら命を絶ってしまったんだ…俺のために…」
私は、涙が溢れて止まらなかった…
そんなにも…強く…激しく…圭吾を愛していた女性…
圭吾の手は震えていた…
私はそっと圭吾の震える手を、包むように握りしめた。
どれだけ辛かったのか…
見たことのない、圭吾の悲しい表情…
私は自分の事ばかりしか、考えていなかった…
私は立ち上がり、ソファーに座る圭吾を抱き締めた…
圭吾は、私の胸で涙を流した…