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異世界転生しなくても美女とハーレム
第6章 天敵あらわる
「そ、そうなんだ。
でも、栗原さんに振り向いてくれないなんて、どんな人だろ……。
こんなに可愛い子に好きと言われたら、拒む理由なんてないのに」

そう言う加恋の表情がみるみると明るくなっていく。今の会話で麻理の相手が私ではないと確信したのだろう。


それはそうだ。私と麻理は今日はじめて会ったことになっている。

「その……、言いにくいんですけど……」

「なに?」

もう、すっかり加恋は麻理の味方に付いている。心配そうに『話してごらん』といった表情で麻理の顔を覗き込む。

麻理は、さらに顔を下に向け、表情を隠して、ポツリと言った。
「その人……、奥さんがいるんです……」

おそらく、顔は見えないが麻理はペロリと舌を出している。私はそんな気がした。


「まあ……」

すっかり騙された加恋は、自分の身に置き換えたのだろう。瞳を潤ませて『分かる、分かるよ、その気持ち』と言いたげだ。

「麻理ちゃん……」
加恋は感極まったのか、麻理を抱きしめて頭を撫でた。

「あ、麻理ちゃんって呼んで良い?」

加恋の問いかけに、麻理はコクンと頭を盾に振った。

「藤堂さん、分かるんですか? わたしの気持ち」

加恋に抱きしめられながら、今度は麻理が核心に迫る。

「分かるよ……、わたしだって報われない恋をしてるんだもの。
麻理ちゃんも『加恋』って呼んで」

とうとう、加恋は最後のピースを組合させてしまった、麻理に。

「加恋さんも不倫してるんですか?」

(しまった!)といった表情の加恋。

「わ、わたしは違うわよ、その……、ほら、わたしも言いにくいんだけど……、
えーと、親友のカレシなのよ、わたしの好きな人って」

声が裏返り、動揺しているのがはた目からも分かる。
きっと、麻理は心の中で笑い転げている事だろう。

さらに麻理が追い打ちをかける。

「加恋さんは、どうして、その人を奪い取らないんですか?」

「え?
だって、親友のカレシなんだよ?」

「分かってます。 でも好きなんですよね?」

「う……、うん……」

「わたしだったら、その親友を殺してでも自分のモノにします」




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