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第7章 寝室を覗く美少女

直ぐに加恋も現れる。


「ごめんなさい、課長。
どうしても直接お話したかったから……」

「どうしたんだ？　加恋。　何か相談事でもあるのか？」


加恋はうつむいて、少し言い辛そうな表情をしている。

「その……、実は、かなり前から、情シスの真田さんから交際を申し込まれていて……」

情シスとは情報システム部の略称だ。真田は入社5年目で、たしか28歳くらいだったと記憶している。社内でも若手有望株だ。

「そうか……、真田は上司にも受けが良い。
きっと、加恋を幸せにしてくれるよ」

とは言ったものの、今まで自分を愛していてくれた女が、他の男の元へ行くのは、一抹の寂しさがあった。


「課長は、止めないんですね……。
やっぱり、麻理ちゃんが言ったように、課長は奥さんが一番大事なんですものね」

「加恋……、本当にすまない。
だが、僕は君のことが本当に好きだったんだ」

「ありがとうございます。
その言葉だけで……、わたしは報われます」

加恋の目に涙はなかった。
きっと、色んな想いは、既にぬぐい捨ててこの場へ来たのだろう。


先に加恋を返し、私はその場で、加恋と出会ってからの日々を思い起こしていた。

（さようなら、加恋）


きっと、新しい恋を見つけ、加恋は幸せになってくれるだろうと思った。