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桃衣の天使
第1章 桃色の天井
 暑い。あまりにも暑い。ニュースによれば今年は観測史上初の猛暑酷暑だそうだ。大雪が降った日は休校になるんだからこんなに暑い日も休校にすればいいのにそうはならない。授業中はまだクーラーが効いてる教室に居るからいいのだが下校時は辛い。昇降口から校門への数分で既に汗だくだ。前を歩く女子達もブラウスを汗で肌に張り付かせて色とりどりのブラジャーを透かしている。こういうご褒美がなければ誰が学校になんか来るものか。自主的に十日早い夏休みに入っている。
 愚痴っても涼しくなるわけでもない。脳天を直撃する熱波にフラフラする頭を抱えて通学路の途中に在る公園に入る。木陰を選んで歩き水呑場を目指す。蛇口の下に頭を突っ込みシャツが濡れるのもお構い無しで勢いよく水を出す。初めは生ぬるかった水も少し冷たくなり気持ち良い。周りに人が居ないのを幸いに犬の様に頭を振って水気を飛ばす。髪型や服装に頓着のない俺は校則にひっかかってウダウダ言われるのが嫌なので一年通してスポーツ刈りだ。こうやって頭を振り二、三回髪をなぞれば七割がた乾いてしまう。実用的でとても便利な髪型だと思うが周囲からの受けは良くない。原因は俺の三白眼を筆頭にする悪党面だ。この面相にスポーツ刈りではチンピラヤクザに見えるそうだ。実際すれ違う見知らぬアンちゃんに非友好的に声を掛けて貰うことが少なくないがそういう時は俺からの一方的な肉体言語でお帰り頂いている。こんな感じなので陰で「組長の息子」と呼ばれているみたいだがもしかしたらそれは事実なのかも知れない。母さんは所謂シングルマザーで俺は親父の顔はおろか名前すら知らない。母さんが頑なに話したがらないところを鑑みると碌な人間ではなさそうなので聞かない事にしている。だからヤクザの組長というのも強ち外れではない気がするのだ。
 話が逸れたが水を浴びて頭もスッキリしたので家路につく。公園を出た所は幹線道で車の往来が激しい。横断歩道で信号待ちするのが普通の人間。無論おれは普通の人間だ。大人しく青信号を待っているとキャハハと笑い声と共に小さい影が俺の横を駆け抜けて行った。
 「小学生」「赤信号」「車のクラクション」いろんな情報が飛び込んできて。
 激しい衝撃と共に俺の意識は闇に落ちた。
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