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不倫研究サークル
第9章 ハプニング
「それは……、ん? もしかして、まだ小梢と連絡を取ってるのか?」

「そうだよ、圭の様子がおかしいから、小梢さんに尋ねたんだけど」

「なにか言ってたか?」

「『わたしが悪いの』の、一点張りで」

「そうか……」

「ねえ、小梢さんが何をしたの? 許せないくらい酷い事?
圭、優しいのに、どうして許してあげないの?」

正直にすべてを話すべきか? いや、陽菜には刺激が強すぎる。 話すべきじゃない。

「僕たちの問題なんだ。これは、いくら陽菜にでも言えない」

「『言いたくない』じゃなくて、『言えない』んだ」

「そうだな……」

「小梢さんのことが嫌いになったわけじゃないんだよね?」

嫌いになれたら……、忘れられたら、どんなに楽になれるか……。

「ああ、今でも好きだよ」


「小梢さんも圭の事が好きだって言ってたのに、ヘンなの」

「ははは……」

僕は、力なく笑うしかなかった。

「ワタシが高校卒業するまで四年弱、それまでに小梢さんと仲直りできなかったら」

「ん?」

「ワタシと付き合ってよ」

「ああ、その時まだ、僕の事を好きだったらな」

今でさえ誰もが振り向く美少女なのに、四年後なんて、どんな美人に育っているか計り知れないものがある。

きっと、僕なんかより相応しい男の子と、陽菜は出会うだろう。そんな気がした。


「じゃ~、お喋りはこのくらいで、ご飯食べよう~」

「そうだな」

「えへへ~」

「なんだよ?」

「じゃ~~~ん~~~」

陽菜が、どこから持ち出したのか、缶ビールを掲げた。




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