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不倫研究サークル
第9章 ハプニング
「ちょっ、陽菜、いつのまに、そんなものを」

「えへへ~、さっき、自販機で買っておいたんだ」

「誰が飲むんだよ?」

「もちろん、ワタシと圭だよ」

「ダメだろ、僕らは未成年なんだし」

ヤレヤレといった表情で、陽菜は何時ものように目を細める。


「あのね、この缶ビールを一缶飲んだだけで、誰かが迷惑を被るわけ?」

「いや、それを売った人が、未成年に販売したって怒られるだろ」

「ザンネン~、売ったのは機械だもん 笑」


(くっ! またしても屁理屈を!)

「圭はさ、クソ真面目すぎるんだよ」

「みんな、飲んでるって、少しくらい」

「そうなのか? 陽菜も飲んだりするのか?」

「たまにね、ママに付き合ってあげるの。 ママ、寂しみたいだし」


「しかしだな……」

「はいはい、つべこべ言わない」

陽菜は有無も言わさず、グラスにビールを注ぐ。

「じゃあ、カンパーイ」

グラスがぶつかり、キンと鳴った。

「くは~~、この一口がたまらない!」

いや、お前はオッサンかよ?

陽菜は、唇に着いた泡をペロリと舐めながら、僕の様子を伺う。

「飲まないの?」

「お、おう、飲むぞ」

僕もグラスに口をつけたが、ビールは江の島で飲んで以来だ。

しかも、美味しくない、という記憶がインプットされている。

だが、JCを前に無様な姿は見せられない。僕はグビグビと喉を鳴らした。

「あれ?」

「どうしたの?」

「なんか、美味いな」

「でしょ? おふろ上がりのビールって、美味しいんだって」


陽菜の笑顔にドキッとする。

とんだハプニングだと思ったけど、とても良い一日だった。


「な、なに?」

「なにが?」

「なんか、見つめちゃって、キモチワルイ 笑」

「なんだよ、ヒドイな 笑」


本当に、陽菜は良い子だ。可愛いだけでなく頭の回転が速く、気も利く。

今日一日で、僕の胸に空いた穴を随分と埋めてくれた。

(陽菜……、ありがとう)




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