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秘蜜のバイト始めました
第3章 え? 女の人とするの?
ホテルを出た後、私は杏果と一緒に近くのワインバルにいた。

私のデビューのお祝いにと、立花が経費で落としてよいからと、酒席を設けてくれたのだ。

「それじゃあ、紗栄子ちゃん、デビューおめでとう!」

「ありがとうございます~杏果さん」

ビールの入ったグラスを合わせると、キン、と短く金属音が鳴った。


「紗栄子ちゃんって、いけるくち?」

「えへへ、実はわたし、フライングなんです」

「フライング?」

「さ来月20歳なんです」




「聞かなかったことにするわ」

「えへへ」

「ところで、紗栄子ちゃん、もうAV女優はやらないつもり?」

25万円も手に入った。十分だ。しかし、私は海にまた会いたいと思っている。

もしかしたら、このままアダルトビデオに出演し続けていれば、何処かで海に再会できるかもしれない。



「最初は、今日の1回だけで辞めようかなと思ったんですけど、もう少し続けても良いかな、なんて考えてます」

「そう、だったら社長に仕事を取って来てもらうわ、極力安全な仕事を回してもらうようにする」

「あぶない仕事もあるんですか?」

「AVをプロデュースする会社はたくさんあるの」

「中には過激なものを撮る会社もあって、そういうとこは女優を使い捨てにするのよ」

「社長は、お調子者にみえるけど、スタッフは大切にする人だから信頼はできると思う、ちょっとお人よしだけどね」

「ところで、どうして杏果さんは立花企画で働いてるんですか?」

「私も、紗栄子ちゃんくらいの時にAV女優をしてたの」




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