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セレナーデ
第2章 2 両親
「さっき、和奏にもうピアノは弾いてくれなくていいって言われたよ」
 食卓で直樹は素っ気なく言った。
「あら。どうしたのかしら。いきなり」
「もう二十歳だしって言ってたよ。確かに大人になったな。いつの間にか」
 感慨深そうな顔つきで直樹が言うのに緋紗も同調して「ほんと。すっかり女性らしくなって」 と、遠くを見つめながら同意した。

 直樹と緋紗が和奏のことを話しながら亡くなった小夜子をしのんでいる様子が優樹に見て取れた。
それがなんだか優樹には少し寂しく感じられることで、言いようのない寂寥感が胸に募る。
そして優樹は自分だけがそのままの和奏のことを見ている気がした。
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