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セレナーデ
第8章 8 いつも一緒に
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気が付くと朝だった。
優樹ははっとして横を見ると和奏が静かな寝息を立てている。
「好きだ」
呟くと和奏が目を覚ました。
「ん?おはよ」
照れ臭そうにちらっと優樹を見て、横を向く和奏を後ろから抱き優樹は肩に口づけをした。
「俺、きっとさ。和奏のために産まれたんだよ」
優樹はしみじみと言った。
「私はきっと優樹を待ってたんだね」
振り向いて和奏は笑った。
二人で抱き合うと子供の頃抱き合って眠ったことを思い出し幸せな気分になった。
「どうしてこの感覚を忘れてたんだろう」
優樹は首を傾げた。
「うーん。もう一回思い出せるようにじゃないの」
和奏の言葉に優樹はジグソーパズルの最後のピースをはめ込むように、ある疑問が解決した。
「そうか。そうなんだね」
「なによ」
「ううん」
(これがお父さんたちの再び得る半身ってやつなんだろな)
優樹は絶対に和奏を手放さないと心に誓ってまた強く彼女を抱きしめた。
そして耳元で歌った。
「僕の想いを歌に乗せて 深い闇の中 あなたに届けさせよう この静かな林で 愛するあなた 一緒になろう」
甘いテノールが和奏の耳をくすぐる。
最後に聞いた歌声は優しいボーイソプラノだった。
「セレナーデ?」
「うん。高校んとき習った。もう朝だけど。ずっと和奏に歌ってやりたかったんだ」
「嬉しい。全部歌ってよ」
「うん。でもさ。後で俺に『アヴェマリア』弾いてくれよ。好きなんだ、あれ」
「ん」
朝の柔らかい光の中で幸せな恋人たちは『セレナーデ』の優しい調べが風に運ばれてくるのを感じている。
(ママ。私も見つけたよ)
和奏は小夜子からの贈り物を受け取る気持ちで喜びに満ち満ちていた。
終
優樹ははっとして横を見ると和奏が静かな寝息を立てている。
「好きだ」
呟くと和奏が目を覚ました。
「ん?おはよ」
照れ臭そうにちらっと優樹を見て、横を向く和奏を後ろから抱き優樹は肩に口づけをした。
「俺、きっとさ。和奏のために産まれたんだよ」
優樹はしみじみと言った。
「私はきっと優樹を待ってたんだね」
振り向いて和奏は笑った。
二人で抱き合うと子供の頃抱き合って眠ったことを思い出し幸せな気分になった。
「どうしてこの感覚を忘れてたんだろう」
優樹は首を傾げた。
「うーん。もう一回思い出せるようにじゃないの」
和奏の言葉に優樹はジグソーパズルの最後のピースをはめ込むように、ある疑問が解決した。
「そうか。そうなんだね」
「なによ」
「ううん」
(これがお父さんたちの再び得る半身ってやつなんだろな)
優樹は絶対に和奏を手放さないと心に誓ってまた強く彼女を抱きしめた。
そして耳元で歌った。
「僕の想いを歌に乗せて 深い闇の中 あなたに届けさせよう この静かな林で 愛するあなた 一緒になろう」
甘いテノールが和奏の耳をくすぐる。
最後に聞いた歌声は優しいボーイソプラノだった。
「セレナーデ?」
「うん。高校んとき習った。もう朝だけど。ずっと和奏に歌ってやりたかったんだ」
「嬉しい。全部歌ってよ」
「うん。でもさ。後で俺に『アヴェマリア』弾いてくれよ。好きなんだ、あれ」
「ん」
朝の柔らかい光の中で幸せな恋人たちは『セレナーデ』の優しい調べが風に運ばれてくるのを感じている。
(ママ。私も見つけたよ)
和奏は小夜子からの贈り物を受け取る気持ちで喜びに満ち満ちていた。
終
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