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セレナーデ
第2章 2 両親
ある夜、喉の渇きと寝苦しさで優樹は起きだし、台所へ向かった。
(今日のご飯しょっぱかったよな)
途中、両親の寝室のドアの隙間から漏れている明かりにふと目をやった。
二センチほどの隙間から半裸で上体を起こしている父の姿が見えた。
すぐに目を逸らそうと思った優樹だが父の姿に圧倒され思わず見入ってしまう。
父は肩で荒い息をしながら母を見下ろしているようだ。
レンズ越しの涼しげな目は威圧的だが慈悲深く。
飢えているような満ち足りているような艶めかしさは全く優樹が見たことのない男だった。
父が母に覆いかぶさったのを見て、優樹は忘れていた呼吸をし、乾いた喉をごくりと鳴らしながらそっと台所に向かった。
ダイニングテーブルに冷えた麦茶を粉引きの白いコップに注いで座り、それを一気に飲み干しため息をついた。
心臓がドキドキしている。
優樹はすでに付き合っている同級生の彼女と性体験がある。
もちろん両親に今でも性交渉があることぐらい知っていたし特に何の感想もなく、この二人の仲の良さなら自然なことだぐらいに思っていた。
しかしさっきの父は優樹の想像を全く超えていて空寒く感じられるぐらい妖艶だった。
そんな父に組み敷かれている母を見ることなど怖くてできないだろう。
父とは眼鏡をかけていないだけでよく似ているのに、さっきの父は自分とは全く異質な『雄』に感じられた。
優樹もセックスを気持ちいいとは思うがあれほどの情念にかられるほどではなく、彼女との経験はそういうシチュエーションになったからという理由で強い欲求があったわけではない。
なんとなくみぞおちに塊を感じて、もう一杯麦茶を飲んでから部屋に戻った。
そしてベッドに転がり、自分が世界に一人ぼっちのような気がして寂しくなる。
ぼんやりと宙を見ながら優樹は『アヴェマリア』を口ずさみ、やがて眠りについた。
(今日のご飯しょっぱかったよな)
途中、両親の寝室のドアの隙間から漏れている明かりにふと目をやった。
二センチほどの隙間から半裸で上体を起こしている父の姿が見えた。
すぐに目を逸らそうと思った優樹だが父の姿に圧倒され思わず見入ってしまう。
父は肩で荒い息をしながら母を見下ろしているようだ。
レンズ越しの涼しげな目は威圧的だが慈悲深く。
飢えているような満ち足りているような艶めかしさは全く優樹が見たことのない男だった。
父が母に覆いかぶさったのを見て、優樹は忘れていた呼吸をし、乾いた喉をごくりと鳴らしながらそっと台所に向かった。
ダイニングテーブルに冷えた麦茶を粉引きの白いコップに注いで座り、それを一気に飲み干しため息をついた。
心臓がドキドキしている。
優樹はすでに付き合っている同級生の彼女と性体験がある。
もちろん両親に今でも性交渉があることぐらい知っていたし特に何の感想もなく、この二人の仲の良さなら自然なことだぐらいに思っていた。
しかしさっきの父は優樹の想像を全く超えていて空寒く感じられるぐらい妖艶だった。
そんな父に組み敷かれている母を見ることなど怖くてできないだろう。
父とは眼鏡をかけていないだけでよく似ているのに、さっきの父は自分とは全く異質な『雄』に感じられた。
優樹もセックスを気持ちいいとは思うがあれほどの情念にかられるほどではなく、彼女との経験はそういうシチュエーションになったからという理由で強い欲求があったわけではない。
なんとなくみぞおちに塊を感じて、もう一杯麦茶を飲んでから部屋に戻った。
そしてベッドに転がり、自分が世界に一人ぼっちのような気がして寂しくなる。
ぼんやりと宙を見ながら優樹は『アヴェマリア』を口ずさみ、やがて眠りについた。