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イキ狂う敏腕社長秘書
第6章 【錯綜していく感情】
タクシーで家の前まで送ってくれたマコさん。
離れるのは名残惜しい。
車内でもずっと寄り添い肩を抱いてくれていたから安心出来た。
「玄関まで送るよ、心配だから」
最後まで優しい。
大丈夫なのに「そうしたいの」と聞かない。
心配性だなって思ったけどその心配は見事的中した訳で。
「美雨、やっぱり泊まる」
「えっ?」
着いた途端そう言い出すからびっくりした。
でもそれは外を見て言った事だとすぐに理解した。
マンション前で待っている人物。
アポもなしで突然来るなんて1人しか居ない。
携帯に連絡はなかったはず。
タクシーから降りるとマコさんが私を支えながら歩いてくれる。
迷わず影が近付いて来た。
「真田さん…!」
友人と一緒だからそんな呼び方。
マコさんを見て「君は確か…」と目を丸くしている。
一度だけ面識ありましたよね。
「どうしてあなたが此処に居るんですか?」
鋭いマコさんの突っ込みに怯むことはない。
「いや、昼間少し辛そうに見えたから気になって……もしかして今も辛いのか?」
「社長、わざわざすみません、明日の仕事には差支えのないように致しますので」
「そんなに体調が優れないのか?明日も無理そうなら有給休暇するといい」
「そうさせてもらいな?」とマコさんからもプッシュされる。
休むのは正直嫌だ。
社長のスケジュール管理は100%私がしてる。
何が何でも倒れる訳にはいかないの。
「大丈夫です、寝れば治りますから……すみません、お見苦しいところお見せして」
まだ少しフラつく私に手を差し伸べようとしてくれた社長を完全にブロックしたのはマコさんだ。
「あとは私がついてますのでご心配なく。何か急用でしたか?」
「あ………いや」
「急用じゃなければ失礼します」
背を向けマンションに入って行く。
無言で頭を下げ離れる私たち。
手も足も出ないといった感じだった。
明里さんと友達のマコさんに変な疑いを持たれても困ると判断したのだろう。
私と2人きりで居たのには驚いていた。