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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】

…あぁ、ほら。
彼の手が離れていった。
きっと心底呆れているんだ。
どの口が言っているんだと。
わたしはこんな事言える立場じゃない。でも
彼が他の女の子に優しくする。笑顔を見せる。まして肌を寄せ合う。全部嫌だ。
勘のいい彼にはもうわかってしまってるはず。
わたしがそんな思いを抱いてしまってるって。
わたしは彼らに『この思い』を
連日連夜させているのに。
ああ。取り返しがつかない。
彼の言う通り、わたしは何処まで間抜けなのか…
「…だって、『未結の友達』だからね」
優しい声と共に毛先が指に絡められているのを感じる。まるで、駄々っ子をあやすみたく。
「無下にはしないよ」
「……」
「流星もそうじゃなかった?」
「…!」
その言葉に、夕方の光景が甦る。
待たされることを嫌う『彼』が、遅刻してきた紫に何も言わなかった。普段なら間違いなく二言も三言も四言もぶつけるだろうに。
あれはやっぱり抑えてくれていたんだ。だから早々に立ち去ったのか…。
無言を肯定と取ったらしい麗さまは、諭すような口調でゆっくりと続けた。
「俺らが下手して、君らの仲にヒビ入れちゃったら嫌だからね。……未結、気づかなかった?あの子、酔ってたの演技だよ」
「えっ?!」
あんな、絵に描いたような泥酔だったのに?
にわかには信じられず、彼の方を振り向いた。

