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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】

「君らの姿が見えたときから違和感あった。彼女、千鳥足だったけど、通行人の野郎がナンパ目的で寄ってきたタイミングで大声出して寄り掛かって自分が盾になって、未結のこと守ってたから」
「……」

確かに何度かそんなことはあった。周囲の目も憚らず、叫んで、甘えるように身体を寄せてきて…。
酔ったせいだと思ってたけど…守ってくれていた?

「彼女の弟も、インターホン越しに事情話しても『姉が酔い潰れた?』って不審がってなかなかドア開けてくれなくてね。決定打は別れ際。言われたこと、そのまま伝えるね」
「…え…」

展開に頭がついていかない。構うことなく麗さまは話を進めていく。


──今日は本当にすみませんでした!あの…未結ってほんと、お人好しで、単純で。そのくせ頑固で泣き虫で、面倒なことも多いんですけど…でも、いい子なんです!
あたし未結のこと大好きなんです!大事にしてあげてください。よろしくお願いします!


「──って。直立してたし目もまともだった。完璧ザルだよね、紫ちゃん」

麗さま曰く、慇懃無礼な振る舞いも、わざと。

癪に障る言動をされ『未結の彼氏』はどんな反応をするのか。
寝入ったふりをすることで二人きりにし『未結の彼氏』が普段どんな態度で未結に接しているのか。
そして酔い潰れた自分と二人きりになったとき『未結の彼氏』はどうするのか。

それを確かめたかったのだ、と。

「紫がそんな……」
「ああこの子、未結のこと本当に想ってんだってわかった。だから『いい子』だって言ったの。…どうやらお眼鏡にかなったようだけど」

言葉が返せなかった。何故なら彼の静かな声には…苛立ちが滲み出ていたから。

「面白くないけどね」
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