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第42章 【紳士なんかじゃない】

半勃ちで、まだ僅かに柔さを残す二つの突起は。流星さまの指に摘まれ、くりくりと捏ね回される。時折意地悪く弾かれて…かと思った直後には転がされて、弄ばれてる。

｢ん…、ふ…っ｣

その間も、首筋には絶え間なく唇と舌が這いずりゾクゾクとした感覚を与えてくる。漏れてしまう吐息に、嬌声が混じらないよう必死に堪えた。

｢っ…！｣

そんなわたしの奮励(？)なんてどこ吹く風で。麗さまに囚われている足にも、同じように唇と舌が這う。指ひとつひとつの形を確かめるように、丁寧に。味わうように…執拗に。

偶然なのかわざとなのか。流星さまが胸の突起に爪を、麗さまが指に歯を立てるタイミングは、いつも同じで。
異なる箇所に走る同じような甘い痛み。それすらも…気持ちよくて。身体も吐息も熱を帯びていった。

｢ん、ゃ…だぁ…っ｣

『わかって』る。この人たち、絶対『わかって』る。
わたしがとっくに起きていて、寝たふりしてるって。

だったらふたりから同時に触れられている今。もう『どちらがわたしを起こしたか』なんてわからない。
つまり…勝ち負けなんてもうどうでもいい。
起きなきゃ。やめさせさせなきゃ。このままじゃ…

｢…ごめ、なさ…っ、も…、ゃめ…｣
｢なー麗ー。麗くーん｣

見開き見上げさせた眼差しも、抱きすくめる腕に縋りついた手も、熱く荒くなった呼吸に交えた哀願も通じない。───それはもう、何もかもが遅いんだってこと。

｢なに｣
｢頼みあんだけど｣
｢…っあ…｣

流星さまはわたしを抱き起こすと、彼に背中を凭れさせて体育座りをするような格好にさせた。
そしてわたしの肩に顎を乗せ、床に寝そべったままの麗さまに向かって言い放った。

｢"左手"だけくれねー？｣