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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】

運転席に捨て置かれていた、黒色の折り畳み式携帯。流星さまのもの。それが突然震え出したのだ。

「…、あっ…?」

顔をそちらに向ける。わたしの位置から確認できたのは、点滅する光。どうやら着信のよう。

「…りゅ…、電話…」
「いーよ、放っとけ」
「んんっ……」

こっち向け、と唇を唇で塞がれる。それは、自分から視線を離したことを咎めるもの。…でもそれは甘くて。わたしの中の疼きが増した。ますます熱く濡れていくのがわかる。

唇が離されたあと。きつさに逆らうように彼自身はわたしの中を再び押し進み…『そこ』に辿り着いた。体重をかけられ、当たったままの先端が容赦なく突き上げる。

「──!やあぁっ!そこっ…だめぇっ!」
「…ここ、好きなんだよな」
「だめぇっ、だめなの…っ!」

揺さぶられる度に絶え間無く滲み出てくる快感に、甘ったるい悲鳴を響かせてしまう。…怖いくらい、気持ちよくて。

「"ダメ"は、"もっと"だもんな。未結はな」
「やあぁぁっ……」

それを知り尽くす、意地悪い囁き。だけど。わたしから溢れ続ける温かい蜜と、増していくきつさ、絡みつく熱。それら全ての刺激をもろに受けている彼からも、余裕の色が消えていく。

「ん…」

洩れる声。きつく閉じられる瞳。飲み込まれそうになるのに抗っているようなその仕種は…堪らなく艶めかしかった。

…わたしだけのもの…

見とれているうちに、携帯は静かになった。しかし間髪入れずに再び着信を知らせ始める。それが何度も何度も繰り返された。


「…っあー…しつけーな!誰だ?!」

その執拗さは彼の表情も雰囲気も一変させた。忌々しげに喚く彼は、わたしの足から手を離そうとする。…瞬間、彼の先端が疼きからずれてしまって。

「りゅ…、やだぁっ…!」

今度はわたしが喚きながら、彼の服の胸元を掴んだ。

「……やめねーよ?」
「……」

苦笑混じりに窘められ、一気に恥ずかしくなって。
だって今のはどう見ても『やめないで』のおねだり。…無意識って怖い。目を逸らしつつ手をそっと離した。


「電源切るだけ…… !」

手に取られ開かれた直後、タイミングよく着信を受け震え始めた携帯。
画面に表示された発信源を目にした流星さまが、微かに唇の端を上げたのを、わたしは見逃さなかった。

瞬時に察しがついた。───麗さまだ。
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