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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】

「…もしもーし。お前しつけーよ、麗」
──ほら、やっぱり。制止も虚しく通話は始まってしまった。
…わたしと身体を繋げたまま。
「今?俺んち。そー。親父んとこ。っ!」
「ッ!!」
突然深くまで貫かれ。反射的にあがりそうになった声は、唇を噛むことで堪えた。
…なんでこんなこと…。ついさっきまであんなに満たされていた幸福感と快感が、一気に引いていくのが判った。
「は?バカ、違げーよ!野暮用!お前今のセリフ忘れねーからな!で、何。未結?俺といるけど?」
どうやら麗さまは帰宅したみたい。心配かけちゃったかな…書き置きでも残しておくんだった。
手の甲を口元に押し当て、必死で声を殺しながら。そんなことを考えていた。
すると突然、目の前に煌々と光が灯った。携帯の画面が寄せられたんだ。表示されているのは電話番号と『通話中 クソった麗』の文字。この登録名…
「未結ほら、麗」
「…ぇっ…?」
「声。聞かせてやれよ」
…で、電話を代われ、ってこと?い、今?この状態で??
目の前でゆらゆらと左右に揺らされるそれを、猫のように凝視したまま硬直してしまった。
通話状態のそれは、L字に折られ運転席に戻された。
…スピーカーホンにされて。
「ほら聞かせてやれって。──"もっとして"って」
「──!」
「おい麗聞こえてるよなー?俺ら今セックス中なの。お前の大好きな未結のかわいー声聞かせてやるから、好きなだけオナってれば?一人だしちょーどいいだろ」
違う。流星さまじゃない。
やっぱりあの時の違和感は間違いじゃなかったんだ。
見た目も声も、確かに流星さまそのもの。でも…違う。
この人はわたしの知っている流星さまじゃない。
わたしの大好きな彼じゃない。
…どうして?なんでなの?なんで突然…?
…わからなかった。

