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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】

「っ、あ!」
彼の親指が秘部の突起に当てられた。剥き出しになったそこを、押し潰すように。
強制的にもたらされる快感。体は素直に悦び、まるで電気が走ったように震える。…涙が滲んだ。今わたしの心の中にあるのは…嫌悪感と…悲しさだけなのに。どれだけ慣らされてしまったのか…
「んんっ……、っ…」
「いらねーって、この手も」
「!だめっ……!」
声を殺すために口元を覆っていた左手。無理矢理剥がされたそれはわたしの顔の横で、彼の右手を重ねられ押さえ付けられる。
…敵わない。無力感にも苛まれた。
「っ…あっ、ん…、やあぁ…っ」
『していること』は、ほんの数分前と何も変わらない。
「なー麗なー、未結凄げーんだよ。俺の咥え込んで離さねーの」
だけど今のこれは愛情も慈しみもない…『彼』に見せつけるためだけの──彼を満たすためだけの行為。
「も…ゃあ…っ!りゅ…っ、いやあ…っ!」
「は?俺ら悦ばすのがおまえの仕事だろ。全うしろよ。──なぁ、ほら!」
「いやああっ」
一番深い部分にあたるように、わざと強く打ち付けられる肌。わざと響かせる…繋がる音。わざと優しく押し上げられ、愛撫される突起。──わたしに、鳴き叫ばせるために。
「おねが…っ…、やめて…ぇ…っ…」
懇願も哀願も届かない。
彼は彼のためだけに動き続ける。
「こんなの…いや…っ!も…、許して…っ」
「……だから…そうじゃねーだろ未結!!」
望みに反し、顔を背け拒絶の声ばかりあげるわたしに、彼は苛立っていた。
わたしの顎を片手で押さえ、力任せに自分の方を向かせ声を荒げる。──わたしが大好きな、その漆黒の瞳にわたしを写して。
瞳。さっきまであんなに優しくて…弱ささえ滲んでいたのが嘘みたく。相手を威圧し有無を言わせない、魂さえも射貫くような…そう、今朝『彼』に向けられていたものと全く同じ。
本来の彼の瞳が、わたしを見据える。
「ひっ…」
──怖い。怖い。こわい…!!
──もう、だめ…もう、むり…
限界を超えた糸が切れた。
「め…なさ…い、…ごめんなさい……っ」
繰り返しながら瞳を閉じ、感情に蓋をした。
今、この現実から…彼から、逃れるために。

