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第44章 【彼の根底にあるもの。2】

｢あ──…っ」

『わたし』に彼が入ってくる。ゆっくりと。
温かくて、少し苦しくて。でもそれが…気持ちよくて。
お互いのその部分だけでなく、手と手も繋いでくれて。
身体だけじゃなくて、心の中まで結ばれてるみたいで…

｢はっ…、ぁんっ！｣

全身が震えて、奥が疼いて疼いて堪らない。
もっときて、もっと って叫んで、求めてる。

それを熟知する彼はわたしの望むままにしてくれる。
柔熱を纏った彼はわたしの深部へと割り入っていく。

『後ろから』じゃなく、『真正面』から
顔と顔を向かわせ合って。そうする訳は…

｢見せて？未結のかわいい顔｣

彼の反対側の手はわたしの頬を押さえ、捕まえる。逸らせないように。自分を受け入れたわたしの表情をその目で確かめたいから。

｢れ… っあ……｣

『──挿入れた時の顔、やべーよ。エロすぎ』

以前『彼』に言われた言葉が脳裏を過った。
途端に襲い来る羞恥心。…かわいいわけない！どれだけはしたない顔をしてしまっているのか。何度身体を重ねていたって、そんな表情を晒けだすのは恥ずかしい。キツく目を閉じ、いやだ、離して、と首を振った。

｢見な…で……ぇっ｣
｢だめ。見せて、未結ちゃん｣

もちろん、許されるわけもなく。
優しく咎めながら、繋いだ手にも指を絡め交わらせながら。彼は律動を再開したのだった。


｢ひっ…、あっ！…んっ、やあぁんっ｣

…わかる、羞恥心のせいで少しだけ強張りかけていたそこは、再び与えられた大好きな甘い熱にとろかされ、ねだるように絡みついている。
悦びの証拠の水音をはしたなく響かせながら、奥へ奥へと導いていく。

…きもちいい…。だめ、またわたしだけ堕ちていく。そう思いかけた時だった。

｢──未結、目開けて｣
｢…？｣
｢俺を見て｣

ゆっくりと瞼を開ける。霞む視界の先には…麗。

相変わらず非の打ち所のない整った顔。だけどその瞳には『彼』同様"雄"が宿り、表情には余裕も涼やかさもなかった。

｢わかる？俺も気持ちいいの｣
｢…ぁ｣
｢未結と、だからだよ。…愛してる｣

最後に与えられたのはその一言と…キス。

…どうしよう。彼の誕生日なのに。
『プレゼント』をもらったのはわたしだった。