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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】

「昨夜さ、麗から変なメール来たんだけど」
──さて。一夜明けて、朝食の時間。
昨日、あの後。麗さまはおサボりすることなく出かけて行った。前言の通り泊まりのため、今家にいるのはわたしと流星さまだけだ。
出勤のための出で立ちでダイニングに姿を現した彼は、珍しく携帯を手にし…怪訝な表情。
「未結にプロポーズされたって」
「!!」
…危うく茶碗を落としかけた。
「ほら。見てみ」
差し出された携帯。画面を覗き込んでみれば…『未結からプロポーズされた』その一文と…周りを囲む賑やかなデコレーション。
「こ…これは…」
「なー?おかしーだろ?」
表情を変えぬまま彼は着席し、携帯をテーブルに置いた。
彼曰く、普段の麗さまのメールは大抵短く業務的らしい。…わたしが受け取るメールには、例えば遅くなるならその理由がしっかり記され、なんなら絵文字もついてたりするけれどな…。それでもここまで派手ではない。
ちなみにわたしも流星さまもL1NEは使っていない。というか二人とも、スマホですらない。流星さまは連絡は電話主義(ちまちま操作するのが面倒くさいから)だし、わたしも繋がればよいという考え方。
…それは今はいい。流星さま不機嫌になっちゃうかな…とドキドキしたけど、予想に反し?彼は深刻な面持ちだった。
「だからさー…あのヘタレついにやべー薬に手ぇ出して、ラリったんじゃないかって、真面目に心配になったのね。野郎、電話も出ねーし」
「……」
「あの人、俺より"激しい"からね」
何も無いといいけど。と締めて。わたしにそれ以上追求することなく彼は食事を始めた。…『激しい』?
──さて、今朝の献立は焼き魚。麗さま以上に流星さまは魚を物凄く綺麗に食べる。漫画みたいに頭と骨しか残っていなくて、最初見たときは驚いたんだ。がさつそう(ごめんなさい)に見えて、そんな意外な一面があったりして。
この暮らしを始めて、一年。
彼らのこと、分かってきたつもりだったけど。まだまだ…まだまだ知らないこと、たくさんあるんだよね。
知っていきたいな。これからも、ずっと。

