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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】
「──…っ、ひあ…っ」
足の指に舌が這う。ひとつひとつ、形を確かめるように、愛おしむように──味わうように、ひとつひとつ。丁寧に。
指先は、神経の集まり。刺激を鋭敏に伝わらせる。身体の何処を愛撫された時とも異なる、くすぐったいような…切ないような特別な感覚をもたらことは…彼が、麗が教えてくれたことだ。
「あ…」
麗はわたしに本当に色んなことを教えてくれる。
例えば…気持ちいいこと。──そう、今みたく。…ああ、わたしやっぱりこうなることがわかって…ううん、期待してた。
愛されること。彼が一番教えてくれたそれの心地良さを…覚えてしまったから。
指に絡みつく熱がわたしの深部に滲み入っていく。じわじわと広がっていく。…快感として。ほら…呼吸も熱くなってきて…
「ッ?!た…っ」
甘ったるい淀みを切り裂いたのは、突然の痛み。歯を立てられ…を通り越し、噛み付かれたんだ。
指先は、神経の集まり。快感もだけど…痛みもより鮮烈に伝わってしまう。爪先から頭の先まで一気に走り抜けた衝撃に、反射的に上体を起こし彼を見下ろした。当の彼は…笑顔。
「未結、おいしいんだもん。もっとしていいよね」
「っ、そんな…」
「痛かったら痛くなくなるまで舐めてあげるから」
ね?と。小首を傾げたくらいにして。可愛らしさすら感じるその仕種に潜むのは…拒否を許さぬ威圧感。
彼は『彼』より強引。忘れていないはずだったんだけど…まだ甘かったと文字通り痛感させられたのだった。
───────────
「ひっ…!あっ、ゃだっ…、いやぁ…っ」
ふくらはぎ、腿、脇腹。柔らかいところばかり狙われて。身を捩って逃げても、彼は執拗に追いかけてきて…新しい痛みと、その痕跡を残していく。
食べられてる。彼が後ほんの少しだけ力を込めれば、肉は食いちぎられ本当にそんな状況になってしまいそう。…だけど。
「…あ、痛かったね。ごめんね」
「んん…っ」
その一歩手前で、舌が這わされるのだ。痛められた後で敏感になっているせいか、それは普段の何倍も…気持ちよくて。
「もう大丈夫だよね」
「あ…っ!…いやあぁっ…」
痛みが鎮まれば噛みつきは再開されて。痛みと快楽、真逆の感覚に…違う。その感覚を容赦も加減もなくぶつけ続ける麗に、ただ翻弄されるしかなかった。