この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Secret space
第6章 6
廊下を歩く足音が聞こえる。
紗織は振り向かずにその音だけに耳を澄ました。静かだが、しっかりとした足音。
あの男のものだと、紗織は直感的に思った。その音源へと、ゆっくりと振り向いた。
直感は間違いでは無かった。
男はある程度近づくと、部屋の前の廊下で立ち止まったまま、
庭に降り立った紗織を無言で見つめた。
奇妙な沈黙が流れる。
合わせた目を背けたかったが、何故か出来ない。
紗織は自分が次に取るべき行動に窮して戸惑った。
黒い双眸は真っ直ぐに、紗織の姿を捕えて放さない。
「・・・何・・じっと見てるのよ」
全くこの男は分からない。
何でそういう目で見るのか。何を考えているのか。何者なのか。
知りたくなるのは、当然の原理で、別にこの男をどう思っている訳でもない。
決して無い。
「来い。部屋に入れ」
既に速まっていた心拍数が、途端に跳ね上がった気がした。
これは怒りと恐怖からで、それ以外の何ものでも無い。
絶対に。
紗織が渋々、縁側である廊下に上ると、
男は腕を掴んで半ば強引に部屋に連れて行った。
紗織は振り向かずにその音だけに耳を澄ました。静かだが、しっかりとした足音。
あの男のものだと、紗織は直感的に思った。その音源へと、ゆっくりと振り向いた。
直感は間違いでは無かった。
男はある程度近づくと、部屋の前の廊下で立ち止まったまま、
庭に降り立った紗織を無言で見つめた。
奇妙な沈黙が流れる。
合わせた目を背けたかったが、何故か出来ない。
紗織は自分が次に取るべき行動に窮して戸惑った。
黒い双眸は真っ直ぐに、紗織の姿を捕えて放さない。
「・・・何・・じっと見てるのよ」
全くこの男は分からない。
何でそういう目で見るのか。何を考えているのか。何者なのか。
知りたくなるのは、当然の原理で、別にこの男をどう思っている訳でもない。
決して無い。
「来い。部屋に入れ」
既に速まっていた心拍数が、途端に跳ね上がった気がした。
これは怒りと恐怖からで、それ以外の何ものでも無い。
絶対に。
紗織が渋々、縁側である廊下に上ると、
男は腕を掴んで半ば強引に部屋に連れて行った。