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第6章 6
(一体・・・どういう神経してるんだろ、この人・・・)


唐突に眠りに落ちてしまった男の寝顔を見て、紗織は呆れた。
力の抜けた男の手を紗織は掴んで、自分で股の間から引っ張り出した。
ぬるりとした感触で、それは抜ける。

体液ですっかり汚れてしまったその指が気になって、
身を起こして、枕元の照明近くに置いてあった木の箱に入ったティッシュペーパーを
二三枚引き抜くと、その長い指をきれいに拭った。


(・・・私ってば何してやってるんだろ。)


紗織は何だか腹立だしくなって、そっぽを向いて布団を被った。


(でも・・よく眠ってるみたいだし、別に気付いたり しないよね・・・。)


男の方へ向き直ると、そっと その胸に顔を寄せてみた。
紗織の耳の鼓膜を震わせる、とくんとくんと血が流れ出す心臓の音。


(あ・・・ この音は 好きだなぁ)


紗織はすとんと 眠りの深淵に落ちていった。
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