この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
女喰い
第7章 助け舟
「なんだ、拙者は用済みとでもいいたいのか? 」

江衛門は不満げに聞き返す。

「いや……、いいんじゃねぇか、な、お美代ちゃん、江衛門が居ても構わねぇよな? 」

しかし、弥八郎はお美代に聞いた。

「あ、あの……、は、はい……、わたし……働き口を探さなきゃいけないんですが、いてくれると助かります」

不意に聞かれ、お美代は慌てて答えた。
身寄りなど無いお美代にとって、五作を失った今はひとりぼっちだ。
江衛門がいてくれると何かと助かる……というのもあるが、ひとりより2人分の食事を作る方が張合いが持てる。

「助かる? って事はー、江衛門、お前……手伝いをしてるのか? 」

弥八郎はお美代の話を聞いて首を傾げ、江衛門に問いかけた。

「お主がやれと言ったのではないか、だから俺は……言われたように手伝いをしているのだ」

江衛門は弥八郎が驚いた顔をするのを見て、ムッとして言い返した。

「本当にしてるのか、へえー、意外だな、偉いじゃねぇか」

確かに、手伝うように……とは言ったが、弥八郎は武士である江衛門が、本当に手伝いをやるとは思ってなかった。
江衛門の意外な一面に感心していた。

「ああ、武士に二言はない、お美代ちゃんはもうじき13になると聞いたが、そんな年で相当な苦労をしてきた、俺のような者でも何かしら役に立つなら……力になる」

江衛門は生真面目にお美代の手助けをしたいと思っている。

「そりゃいい事だ、ま、もうつきっきりじゃなくていいからな、お美代ちゃんは働き口、江衛門は旗本奴として、それぞれにやる事をやって、で、共に暮らせばいい」

弥八郎は居候する事に賛成だった。
というよりも、温かく見守ってやりたい気持ちになっていた。

この先、2人が男女の仲になる事を見据えてはいたが、決していかがわしい目で見ているわけではない。

五作には悪いとは思ったが、お美代は彦兵衛のせいで酷い目にあった。
息子として嫌でも責任を感じる。
だからこそ、幸せになって欲しい。
江衛門は旗本奴だが、とても信頼出来る人間だ。

弥八郎は2人が僅かずつ近づいていくのを、それとなく見守っていきたいと……こっそりそう思っていた。



/133ページ
※結果は非表示に設定されています
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ