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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第6章 魔王⑥
 しかし、相手の言葉が正しいことは分かっていた。

(私、触られて気持ち良くなってる……相手は人間の敵なのに! それなのに、感じさせられているなんて……)

 悔しい気持ちをぶつけるように、目の前の男を精一杯睨みつけた。しかし指で花芯が潰されると、声にならない声をあげ、再び快楽に堕とされる。

 抵抗しなければならないのに、与えられる刺激に思考が追いつかない。なのに、身体は男を迎えるための準備を本能に従って着々と進めている。

 男を求める本能と、拒絶しなければならない理性がかき回されて、心が引き裂かれそうになる。

 愛液に塗れたあの手を思い出すと、泣き出したいほどの自己嫌悪が彼女を襲った。

 嫌というほど思い知らされたからだ。

 自分が聖女と呼ばれていても、聖地で清く生きていても、淫らに触れられるだけで濡れてしまう、一人の浅ましい女であることを。
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