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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第53章 目覚め①
「そうよ、私は無力だわ! 何も出来ない、只の女よ‼ 私に力があれば……強い心があれば……今頃あなたは消滅させられていたの‼ これほど……今これ程、自分の非力さを呪ったことはない‼ 弱い自分を憎んだことはないっ‼ でも……」
ちらっとソルに視線を向ける。
涙を堪えながら、何も言えずにいる彼の姿を。
「私が一秒でも、あなたたちの足止めが出来たのなら……私は無力じゃないと……本当に強くなれたのだと、自信をもって死ねるわ」
「……やめ……ろ……やめろ‼ 死ぬなど言うな‼ ずっと私の傍にいろと言ったはずだ、フィーネ‼」
ソルがフィーネの肩を掴むと、彼女を振り向かせた。
焦りと恐怖を浮かべる彼に、フィーネは微笑みを返す。
恐らく、最期になる微笑みを。
「……きっとまた会えるわ。また私を……見つけてね、ソル」
彼の手を振り払い、剣を構えると、フィーネは叫び声をあげながら、目の前の敵に切りかかった。
ちらっとソルに視線を向ける。
涙を堪えながら、何も言えずにいる彼の姿を。
「私が一秒でも、あなたたちの足止めが出来たのなら……私は無力じゃないと……本当に強くなれたのだと、自信をもって死ねるわ」
「……やめ……ろ……やめろ‼ 死ぬなど言うな‼ ずっと私の傍にいろと言ったはずだ、フィーネ‼」
ソルがフィーネの肩を掴むと、彼女を振り向かせた。
焦りと恐怖を浮かべる彼に、フィーネは微笑みを返す。
恐らく、最期になる微笑みを。
「……きっとまた会えるわ。また私を……見つけてね、ソル」
彼の手を振り払い、剣を構えると、フィーネは叫び声をあげながら、目の前の敵に切りかかった。