この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
はじめてのひと。
第8章 日常
「…….じゃない」
「え?何?」
「こうなったのは千紘くんのせいじゃない!」
下唇をギュッと噛んで顔を上げ、彼を睨むようにして思わず声を荒げてしまった。
彼は驚いて固まっていたけど私は感情のままに続けた。
「千紘くんは忘れてるかもしれないけどあの写真、何?随分大事そうにしてるんだね!」
「あれは…」
困ったような顔をしながら口を開く千紘くんになおも噛み付く。
「あれは何?」
「…確かに高校の時好きだった人だよ…。」
「だった?今でも気になるから、大事にしてるんじゃないの?」
「こっちに来てすぐの頃はまだ引きずってたけど…」
「じゃあ、何で今でも持ってるの?あの写真見た時すごいショックだったんだから!」
言いながら、抑え切れなくなった涙が瞳を潤ませて、目の前の千紘くんがぼやける。
こんな小さなことで大人気なく嫉妬して拗ねるなんて…
そう思っていても止める事が出来なかった。