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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第29章 29 町と家と
「服装は民族の個性というか、地方の気候にあっているものなのね」
「そのようね。都にいくとそんな着物が合うのね」

 ファッションではなく便利性なのだと二人で再認識しながら頷いて笑いあった。京湖は寝室の衣装籠から、数点着物を持ってきた。

「遠慮しないで着たらいいわ」
「ええ、でも」
「着物を今から仕立てるのも時間がかかるから」
「そう、じゃあ、借りようかな」
「ちょっと着てみたら?」

 勧められ、晶鈴は寝室で着替えて戻ってきた。ふわっとした生地の着物は薄い青色で、重厚な印象から軽やかな印象に変える。袖は晶鈴のものよりも長くひらひらと風に舞う軽さを持っている。丈もひざ下あたりまでしかないので、やはり薄手のひらひらしたズボンをはく。歩くと足の運びがするするといい。

「どうかしら? ちょっと透けてない?」
「透けてないわ。よく似合ってる」
「そう?」
「そうだ。これもよかったら」

 京湖はまた奥から持ってきた玉の腕輪を、晶鈴にはめる。

「まあ、素敵な玉ねえ」

 真っ白い玉は、濁ったところも、傷もない完璧な円形だった。

「これはちょっと高価すぎないかしら? 壊したら大変」
「いいのいいの。よく採れる玉なの。あなたに持っていてもらいたいの」

 どうやら感謝のしるしとして、玉を贈りたいようだった。元々、素直に受け取る晶鈴は彼女の厚意と一緒に受け取ることにした。

「ありがとう。これで過ごしやすくなるわ」

 しばらく自分の着物は着ることがないだろうと、綺麗に洗濯をして仕舞うことにした。新しい民族に生まれ変わったような気持ちで晶鈴は占いの仕事に取り掛かるのだった。
 
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