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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第50章 50 側室
「やあ星羅。久しぶりだな」
「ほんと!」

 馬から降りた明樹は、兵士らしく簡易な鎧を身に着け腰に剣を挿している。カチャカチャと金属音をさせながら馬を撫で、門前の使用人に手綱を渡す。

「どうだ。軍師省は?」
「面白いわ。明にいさまは一等兵になられたとか」
「ああ、もうすぐ上等兵さ」
「さすがね! おじさまも老師もお喜びになるわね」
「ん、まあ父上も母上もほんとうは文官になって欲しかったろうから、どうだろうな」
「そういえば、お二人とも様子が変だったの。どうしてかしら」
「ああ、知らないのか」
「何を?」

 一瞬ためらいを見せたが明樹は星羅にそっと耳打ちする。

「父上が側室を迎えるのだ」
「え……。おじさまが側室を」
「すぐわかるだろうから隠さないが、春衣が側室になるんだ」
「まあ。春衣さんが」

 確かに医局長の慶明ならば、一人二人側室がいてもおかしくはない。しかし春衣を側室にするならばもう少し早くてもよかっただろうにと思う。

「実は春衣が身籠ったんだ。それで今頃、側室にするのだろう」

 ぽかんとする星羅に明樹は優しく笑う。
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