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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第51章 51 視察
 他の専門機関に比べ、軍師省は活発な議論をなされることも多いので、案外賑やかだった。意見が対立しているのかたまに怒声が聞こえてくる。

「こちらは活気があるのですね」

 荒げた男の声に、申陽菜はその細い体をより細く縮めるようにして隆明に寄り添う。

「そうだな。ここは与えられたものを受け取るだけではなく、発揮するところであるからな」

 間違うと場末の酒場のような言い争いにも受け取れる。軍師、教官、助手と順にみながら、隆明は彼らの熱気に当てられたかのように己も軽い興奮状態になっていた。

「良いな……」

 王太子という身分を与えられた曹隆明と違い、彼らは自らの手で道を作り歩こうとしているのだ。最後にかるく見習いたちのいる部屋を覗く。一人の青年が地図を指さし、古代の分裂していた時代のことを熱心に話している。見習いたちは、過去の戦乱、戦略をシミュレーションして戦略を立てているのだ。振り返った青年を見て隆明は立ちすくむ。

「しょ、晶鈴……」

 青年は晶鈴によく似ている。北西出身の側室、周茉莉よりもずっと似ている。じっと青年を見つめる隆明に、申陽菜は「殿下、どうなされたのですか? あの青年が何か?」と尋ねた。

「あ、い、いや。知り合いに似ていたので」
「そうですか。声でもおかけになります?」
「いや、討論中のようだしやめておこう」
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