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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第53章 53 接近
「まったく星雷はひやひやさせるよな」
「王族の身体に触れると本来、不敬罪あたりかねん」
「不敬罪?」
「冗談だ」
「悪い冗談はよしてくれ」

 ふっと笑う郭蒼樹に星羅は目を丸くする。

「でも殿下は気さくな方だな」

 徐忠弘は王太子である曹隆明が高圧的でも、傲慢そうでもない温和で寛容な態度に感心しているようだ。

「うん。僕もそう思う。王族とはそういう方が多いのかな」

 星羅の素朴な疑問に郭蒼樹は首を振る。

「いや、誰とは言わないが傲慢と高慢でできている王族も多い」
「さすが軍師家系だな。よく知ってるんだな」
「まあ親父や祖父から色々聞かされているしな」
「それでよく軍師になろうと思ったね」
「ほかに思いつかなかっただけだ」

 郭蒼樹にとって軍師になることは、普通に生活をすること変わりないことのようだ。

「僕はもっと精進して軍師になって殿下にお仕えしたい」
「そうだな。俺もそう思うよ」
「うん、殿下にならお仕えする甲斐があるというものだな」

 三人は同じ意見を持った。緊張が解けると「それにしても星雷は女みたいな悲鳴を上げるよな」とからかい始めた。
「そうだな。軍師たるもの些細なことで動揺しないほうがいい」
「ちょ、ちょっとびっくりしただけだって。大げさに言わないでくれよ」
「じゃ、続きやろうぜ」
「そうだな」

 また軍略の続きを練り戦うことを始めた。誰も戦争を望む者はいないが、戦うことを適当にないがしろにすることはしなかった。気づかないうちに三人は戦略だけでなく、心理の駆け引きにも長けていくようになっていった。 
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