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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第54章 54 香り
「晶鈴だけだったな……」
改めて晶鈴は友であり、恋人であり、母であったのだと思う。そう思えば思うほど晶鈴が恋しくなる。
「身代わりにはできないだろう」
よく似ている朱星雷を、ついつい晶鈴の身代わりにそばに置きたいと願ったが、逆に虚しくなりそうだ。デリケートで心根の優しい隆明は、朱星雷にも嫌な思いをさせたくなかった。
「晶鈴は何も残さなかったな」
香りもまとわず、記憶に残るのは彼女の若かりし姿だけ。彼女の好きな桔梗の花を庭に植えたが、嫌いじゃないというだけだったかもしれない。
「今、私のことを少しでも想ってくれることがあるだろうか」
故郷にいるだろう晶鈴はおそらく家庭を持っているだろう。隆明は何度も彼女の故郷に行きたいと願ったが、無理な立場だった。また彼女に会ったところで何か変えられることもない。
朱星雷の登場で、久しぶりに胡晶鈴への想いを再確認してしまった。そのことを口にはもちろん出さないが、申陽菜と周茉莉2人の側室は隆明の様子がおかしいことに鋭く気づくのだった。
改めて晶鈴は友であり、恋人であり、母であったのだと思う。そう思えば思うほど晶鈴が恋しくなる。
「身代わりにはできないだろう」
よく似ている朱星雷を、ついつい晶鈴の身代わりにそばに置きたいと願ったが、逆に虚しくなりそうだ。デリケートで心根の優しい隆明は、朱星雷にも嫌な思いをさせたくなかった。
「晶鈴は何も残さなかったな」
香りもまとわず、記憶に残るのは彼女の若かりし姿だけ。彼女の好きな桔梗の花を庭に植えたが、嫌いじゃないというだけだったかもしれない。
「今、私のことを少しでも想ってくれることがあるだろうか」
故郷にいるだろう晶鈴はおそらく家庭を持っているだろう。隆明は何度も彼女の故郷に行きたいと願ったが、無理な立場だった。また彼女に会ったところで何か変えられることもない。
朱星雷の登場で、久しぶりに胡晶鈴への想いを再確認してしまった。そのことを口にはもちろん出さないが、申陽菜と周茉莉2人の側室は隆明の様子がおかしいことに鋭く気づくのだった。