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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第57章 57 故郷
数年のうちに、京樹も星羅も自立するだろう。その時に、帰らせてやれるものなら京湖を西国へ帰してやりたいと願っている。
「父様も知ってるかな」
「官窯でも聞いているんじゃないかしら。毎年、隊商から絵付けにつかう顔料を買っているようだし」
「最近、町でもみかけるよ。青花の器を」
ここ数年、白磁に青い染付をする手法が始められ、輸出もされるようになっている。玉のような真っ白い肌に、中華独特の文様や、風景、植物などが描かれており外国ウケが良かった。
「綺麗だけど、ちょっと硬くて冷たい気がするわ」
「そう」
少し寂しそうな眼をする母に「いつかまた父様の器を使えるよ」と同情した。
「そうね。じゃあもうおやすみなさい」
昼夜逆転の京樹は、日の出とともに眠りにつく。まるで最初から夜型だったかのように今はすっかり馴染んでいる。寝台に横たわると、洗濯された清潔な寝具が心地よい。
京湖がすすぎ水の最後に数滴たらす、精油の香りがうっすらと漂う。深く苔むしたような木の香りを吸い込むと、思考がほぐれ京樹はまた深い闇の世界へ落ちていった。
「父様も知ってるかな」
「官窯でも聞いているんじゃないかしら。毎年、隊商から絵付けにつかう顔料を買っているようだし」
「最近、町でもみかけるよ。青花の器を」
ここ数年、白磁に青い染付をする手法が始められ、輸出もされるようになっている。玉のような真っ白い肌に、中華独特の文様や、風景、植物などが描かれており外国ウケが良かった。
「綺麗だけど、ちょっと硬くて冷たい気がするわ」
「そう」
少し寂しそうな眼をする母に「いつかまた父様の器を使えるよ」と同情した。
「そうね。じゃあもうおやすみなさい」
昼夜逆転の京樹は、日の出とともに眠りにつく。まるで最初から夜型だったかのように今はすっかり馴染んでいる。寝台に横たわると、洗濯された清潔な寝具が心地よい。
京湖がすすぎ水の最後に数滴たらす、精油の香りがうっすらと漂う。深く苔むしたような木の香りを吸い込むと、思考がほぐれ京樹はまた深い闇の世界へ落ちていった。