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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第62章 62 宴
いつもよりも丁寧に髪を梳かしまとめ上げ、星羅は郭蒼樹に借りた着物を着る。上等な絹織物に母の朱京湖はうっとりと生地を撫でる。
「この国の織物はほんとうに素晴らしいわね。重厚で繊細で丁寧で」
「西国にもいいものがいっぱいあるでしょう?」
「うーん。緻密さが少し違うわね。国のせいかしらね。西国は暑いから」
「そうなのね」
くるりと一周して見せる星羅に「これならどこに出しても恥ずかしくないわ!」と京湖は感嘆する。
「晶鈴がみたら、どんなに立派になったかって思うかしら……」
歳のせいだろうか、キャラバンで胡晶鈴の噂を聞いたせいだろうか。京湖はまた涙もろくなっている。
「わたしが立派に見えるなら、それはかあさまが育ててくれたおかげだわ」
「ありがとう……」
力強く星羅は心からそう思っている言葉を発する。実際に京湖は子煩悩で、兄の京樹と星羅を大変慈しんだ。もちろん夫の彰浩に対しても思いやり深く優しく尽くしている。とても高官の娘とは思えない献身ぶりだ。
京湖に言わせると、娘時代は自由奔放で好き勝手しても誰にも諫められることはなく、毎日楽しいことばかりして過ごしたということだ。今は、贅沢もできず、一日中家事に追われて自由に遊ぶ時間はない。それでも愛する夫と子供たちに囲まれて幸せだという。
実の子ではない星羅が卑屈にならず、素直に明るく育ったのは京湖の、大らかで愛情深い育て方のおかげだろう。
「この国の織物はほんとうに素晴らしいわね。重厚で繊細で丁寧で」
「西国にもいいものがいっぱいあるでしょう?」
「うーん。緻密さが少し違うわね。国のせいかしらね。西国は暑いから」
「そうなのね」
くるりと一周して見せる星羅に「これならどこに出しても恥ずかしくないわ!」と京湖は感嘆する。
「晶鈴がみたら、どんなに立派になったかって思うかしら……」
歳のせいだろうか、キャラバンで胡晶鈴の噂を聞いたせいだろうか。京湖はまた涙もろくなっている。
「わたしが立派に見えるなら、それはかあさまが育ててくれたおかげだわ」
「ありがとう……」
力強く星羅は心からそう思っている言葉を発する。実際に京湖は子煩悩で、兄の京樹と星羅を大変慈しんだ。もちろん夫の彰浩に対しても思いやり深く優しく尽くしている。とても高官の娘とは思えない献身ぶりだ。
京湖に言わせると、娘時代は自由奔放で好き勝手しても誰にも諫められることはなく、毎日楽しいことばかりして過ごしたということだ。今は、贅沢もできず、一日中家事に追われて自由に遊ぶ時間はない。それでも愛する夫と子供たちに囲まれて幸せだという。
実の子ではない星羅が卑屈にならず、素直に明るく育ったのは京湖の、大らかで愛情深い育て方のおかげだろう。