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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第69章 69 見習いの卒業
「結果は気にならないのか?」
「結果? ああ」
「なんだよ。気にしてなかったのかよ」
「あいやー。気にしてないというか、どっちにしても俺はもう、この辺が引き際かなって」
「お前がいるといい均衡を保つんだが、これからどうなるかなあ」
「蒼樹と星雷の組はなかなかいいと思いますけどね。夫婦軍師とかになったりとか。はははっ」

 おやっという顔をして孫公弘は杯をそのまま空に浮かせた。

「星雷が女って知ってたのか」
「途中からですけどね。うちは女中だらけなので女には目ざといですよ。教官も知ってたんですか?」
「そりゃあな。上のものはみんな知ってるさ。まあ軍師省初の女人ということで、星雷の希望で男装してたわけだが」
「星雷も変わってるよなあ。嫁の行きてがあればいいが」
「嫁に行く気などないだろう。ああ、でも嫁ぎ先はたくさんありそうだぞ。わはははっ」

 徐忠弘はその話を聞いてちょっと残念な気がした。秘かに彼女を気に入っていたので、行き遅れたら自分が娶ってもいいくらいに思っていた。

「そうか。じゃ、せめて婚礼衣装くらいうちで用意してやるかな」

 そんな徐忠弘の気持ちに気づいてかいないのか、孫公弘はどんどん酒をつぐ。

「ここに入ったばっかりの時にもさんざん飲んだよなあ」

 自分の部屋で歓迎会と称する飲み会を、徐忠弘は懐かしく思い出した。なみなみと注がれた杯の酒には、あの頃の少年のような徐忠弘ではなく、立派な青年が映っている。

「華夏一番の商人にでもなるか」
「おう! お前ならできる!」

 再び乾杯して門出を祝った。
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