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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第9章 9 王太子妃
目の前の恋に冷静な判断ができない姉の桃華を、杏華は心配しながら、反面呆れてしまった。桃華が駆け落ちなどしてしまえば、家族全てに責任が降りかかる。今では、身を割くような極刑はなく、父親の職を剥奪されることもないであろうが、この王太子妃を選ぶために使った莫大な経費を要求されることになる。そうなれば杏華はとにかく裕福な商人のもとへ嫁ぐことになるだろう。
「ねえ、お願いよぉ」
昔から桃華は自分の意見を曲げることはなく、すべて押し通してきた。本人に悪気はないようだが、これは杏華にとって脅迫とも思えるお願いだ。
「姉さま……」
国を欺くか、賠償金で苦しむか。なぜ自分がこのような選択を強いられているのか杏華には訳が分からなかった。ただ姉に対して、今まで積もっていた鬱憤が憤怒に変わることがわかる。
「いいわ。代わりに行ってあげる。でも、後でもう一度入れ替わることは絶対にできないのよ?」
「もちろん、承知してるわ」
青白い顔がみるみる桃色に紅潮し喜びにあふれてくる。事の重大さをまるで分っていないような姉に杏華は殺意すら覚える。若い身空でもう墓場まで持っていく秘密を抱えてしまった杏華は、とにかくばれないことだけを考え始めた。
「ねえ、お願いよぉ」
昔から桃華は自分の意見を曲げることはなく、すべて押し通してきた。本人に悪気はないようだが、これは杏華にとって脅迫とも思えるお願いだ。
「姉さま……」
国を欺くか、賠償金で苦しむか。なぜ自分がこのような選択を強いられているのか杏華には訳が分からなかった。ただ姉に対して、今まで積もっていた鬱憤が憤怒に変わることがわかる。
「いいわ。代わりに行ってあげる。でも、後でもう一度入れ替わることは絶対にできないのよ?」
「もちろん、承知してるわ」
青白い顔がみるみる桃色に紅潮し喜びにあふれてくる。事の重大さをまるで分っていないような姉に杏華は殺意すら覚える。若い身空でもう墓場まで持っていく秘密を抱えてしまった杏華は、とにかくばれないことだけを考え始めた。