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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第11章 11 太子と王太子妃
「よくぞ参った」
一言、隆明が言葉をかけ、席に着くと楽団がぞろぞろとやってきて華やかな演奏が始まった。赤い布が取り払われ、大きな広間に大臣たちと、楽団、舞踊団がひしめき合っていることに気づいた李華は驚くが、それよりも隣に座る隆明の存在のほうが大きい。雅な音楽も美しい舞も目に入ってこなかった。美しい太子がまぶしすぎて、李華はまた身代わりであることに心が重くなってくるのを感じた。
「もうじき終る」
李華の暗い表情を見て、隆明は疲労だと思ったのだろう。いたわる声は優しい。
「ありがとうございます」
2人のまた奥の席には王と王妃が座っている。変に思われてはいけないと思い、李華は姿勢を正し、舞を楽しんでいるそぶりを見せる。目の前をカラフルな薄絹が、滑らかな弧を描き、花が開いたり閉じたりするような舞踊はとても美しい。今の時代に奴隷も、宦官もなく、舞踊を生業とする者の地位は低くない。裕福な家の娘でも舞踊団に入っていたりする。艶やかな舞姫たちを眺めると、ますます李華は居心地が悪くなる。双子である桃華とは一卵性でそっくりな美貌を持つ彼女だが、あか抜けた都の女性たちには引け目を感じる。そもそもが姉と違った控えめな性格だからだ。ここまで来たからにはとにかくボロを出さず、自分は『桃華』であると言い聞かせた。
一言、隆明が言葉をかけ、席に着くと楽団がぞろぞろとやってきて華やかな演奏が始まった。赤い布が取り払われ、大きな広間に大臣たちと、楽団、舞踊団がひしめき合っていることに気づいた李華は驚くが、それよりも隣に座る隆明の存在のほうが大きい。雅な音楽も美しい舞も目に入ってこなかった。美しい太子がまぶしすぎて、李華はまた身代わりであることに心が重くなってくるのを感じた。
「もうじき終る」
李華の暗い表情を見て、隆明は疲労だと思ったのだろう。いたわる声は優しい。
「ありがとうございます」
2人のまた奥の席には王と王妃が座っている。変に思われてはいけないと思い、李華は姿勢を正し、舞を楽しんでいるそぶりを見せる。目の前をカラフルな薄絹が、滑らかな弧を描き、花が開いたり閉じたりするような舞踊はとても美しい。今の時代に奴隷も、宦官もなく、舞踊を生業とする者の地位は低くない。裕福な家の娘でも舞踊団に入っていたりする。艶やかな舞姫たちを眺めると、ますます李華は居心地が悪くなる。双子である桃華とは一卵性でそっくりな美貌を持つ彼女だが、あか抜けた都の女性たちには引け目を感じる。そもそもが姉と違った控えめな性格だからだ。ここまで来たからにはとにかくボロを出さず、自分は『桃華』であると言い聞かせた。