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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第93章 93 父との別れ
虚ろな日々を余儀なくされていた陸明樹は、父である医局長、陸慶明の処置によって徐々に力を回復していった。自分の家族がわかり、身体にも力が入るようになり起き上がることが出来るようになってから、中央に帰ってきていることを知る。
目を覚まして、天井を眺めている明樹に気づき、隣で休んでいた星羅は身体を起こす。
「あなた、気分は?」
「うん、悪くない」
明樹は天井を見つめたまま答える。星羅は寝台から降りて、息子の徳樹が眠っている籠を覗きに行った。彼はまだすやすやと眠りこけている。
ぼんやりと星羅は、西国に帰ってしまった母、朱京湖を想い、帰ってきた夫、明樹を感じる。明樹を取り戻せた喜びと、京湖を失った悲しみが複雑にブレンドされている。
「朝げの支度が出来ました」
陸家の下女の声に星羅はハッと現実に心を戻し「今行きます」と返した。明樹の具合が安定するまで、星羅と息子の徳樹も、陸慶明の屋敷に住んでいる。広い屋敷では親子三人が加わっても問題なかった。家のことも、使用人が何人もいるので星羅は客のように何もしなくてよかった。
目を覚まして、天井を眺めている明樹に気づき、隣で休んでいた星羅は身体を起こす。
「あなた、気分は?」
「うん、悪くない」
明樹は天井を見つめたまま答える。星羅は寝台から降りて、息子の徳樹が眠っている籠を覗きに行った。彼はまだすやすやと眠りこけている。
ぼんやりと星羅は、西国に帰ってしまった母、朱京湖を想い、帰ってきた夫、明樹を感じる。明樹を取り戻せた喜びと、京湖を失った悲しみが複雑にブレンドされている。
「朝げの支度が出来ました」
陸家の下女の声に星羅はハッと現実に心を戻し「今行きます」と返した。明樹の具合が安定するまで、星羅と息子の徳樹も、陸慶明の屋敷に住んでいる。広い屋敷では親子三人が加わっても問題なかった。家のことも、使用人が何人もいるので星羅は客のように何もしなくてよかった。