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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第99章 99 兄と妹
「そういう星のもとに徳樹は生まれたのだろう。星羅、君も……」
「義父上はとても良い話だというの。義母上も」
「そうだろうね。この王朝を引き継ぐのだもの。華夏国の権威と尊敬を一身に受けるのだから」
「わたしが手放すことを、徳樹はどう思うかしら」
「手放すとは違うよ。徳樹は星をみても本人を見ても国の天子だとよくわかる」
「ええ、そうね……」

 陸家を頼り、徳樹を育てることは可能だろうが、彼自身を見ていると王家に入ることが望ましい。軍師省に大人しくついてくる徳樹は、活発な議論に目を輝かせ、地図をじっくりと眺めている。まるで王太子であったころの曹隆明と同じようなまなざしで、華夏国を見ている。軍師として国に仕え、発展に尽力したいと考える星羅とは同じ血族でも、異質のものだ。

「わたしは軍師だけど、徳樹は君主なのだわ」
「結論が途中だけど、いいかな」
「え、ええもちろん」
「実は僕も西国に帰ることになる」
「えっ!?」
「かあさまと西国の状況がわかった。ここに手紙もある」

 京樹は棚から蛇腹の紙をとりだす。ふわっとスパイシーな香りが漂う。西国には紙にも香料が施されているようだ。中身は西国の文字ではなく、華夏国の漢字で書かれていたので星羅にも読むことができた。香りに懐かしさを感じながら読み進めた。
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