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真紅の花嫁
第14章 茜色の空
「だから、身寄りがなくなった時、亮がわたしを頼ってくれたのは、すごくうれしかった。
彼のためならなんでもしようと思った。
今でも思っている。
後悔なんてしてない」
紀美子はぐいっとワインを飲み干した。
「矢崎さん。
あなた綺麗になったわね」
「え……」
「とっても色っぽくなった。
どうしてかしら?」
真波が顔を赤らめ固まるのを見て、紀美子は意地悪く唇を歪める。
「正直なんだから」
テーブルに身を乗りだし、急に真剣な顔になった。
「あなたが亮とどんな関係になろうがかまわない。
亮が誰と何をしようが、わたしの知ったことじゃない。
でもね、忘れないで。
亮の最初の女はわたし。
それだけは、いつまでたっても変わらないの」