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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告


駐車場のはずれ。
美術館の建物と公園の木立に囲まれたあたりから、声は聞こえてくる。

何を言っているのかまではわからないが、甘い雰囲気は感じ取れた。

(たぶん、公園に来たカップルが、いちゃついているだけ)

すぐに誰何《すいか》すべきだったかもしれない。
しかし、その声に含まれる何かが、真波にそれをためらわせた。


歩をすすめると、ひそひそ声が明瞭になった。

「亮くん……気持ちいい?」

「うん……うまくなったね」

「はあぁ、くちゅ……亮くんが教えたくせに」

「綾音はいやらしいから、上達が早いよね。
  こんなとこでやって、よけい昂奮してるんだろ」

「やぁ、いわないで……
     ……むちゅっ……ちゃぷっ……
 ああん、誰か来たらどうしよう」


言葉の合間に、秘めやかな音が交じる。

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